超能力的生徒会 in 蝶野学園Ⅱ

そして、現在。


「まったく...杏樹。身体弱いんだから、無理しちゃダメだって言ったよね...?」

「別に、無理はしてません」

「じゃあ、これは何かなぁ?」

笑みが怖い。
.....要が持っているのは体温計。

しかも、その体温計にはしっかりと、

『39.5°』

と、表示されていた。

「それは数字です」

「杏樹。ふざけない。まぁ、確かに数字だけど。って、そうじゃない!どうしてこんなに高くなるまで、無理をしたのかなぁ?」

「まぁ、色々とありましたから。で、私が出て行った時のことですが、よく考えたら、前に一緒にいたのは要の従姉ですよね?」

「上手く逃げたな...まぁ、そうだ。あれは俺の従姉。母方のな」

「で、私を殴ったのも、要の従姉」

「ふ~ん.....って、はぁ?」

うわっ!
顔、怖いです!

「従姉でナイだろ~?」

いや、でも、じゃあ、凄いソックリさん?

う~ん...
でも、顔が同じだったんですよね。

「まぁ、誰でもいいですが、女の人で遊んだら、そのうち酷い目を見ますよ」

「酷い目?と、言うか俺、別に遊んでないし」

いやいやいや。
絶対に女たらしでしょう。

「はい。いつか、恨まれ、グサッっとナイフが身体にブッ刺さりますよ」

「...それは怖いな~☆まじで」

「前にそういうお話がありました」

あれは、怖かった...
この世の中で一番怖いのは嫉妬に狂った女の人なのではないのでしょうか...
少なくとも私はそう思います。

「ま、頭に入れとくよ。それより、杏樹は寝なさい」

え~.....

「寝るのってツマラナイじゃないですかぁ~」

「まぁ、そうかもな。でも、寝ないと治らないぞ」

「寝ないです。イヤです」

「はぁ~...杏樹。俺は杏樹のために言ってるんだけど」

でも...

「だって、寝ちゃったら、要、どっか行っちゃうでしょ...?」

「は?ちょっと、杏樹!?」

「私だって、たまには一緒にいたいです。いっつも違う女の人といて。なんだか片思いの報われない人みたいです」

「...杏樹」


...何か言ってるこっちが恥ずかしい。

でも、美月が、

『杏樹は何でも我慢しすぎだから、たまには甘えたり、本音、言わないとダメだよっ!言葉にしないと相手には伝わらないからっ!分かった?』

って。

「私は要にとって、お荷物ですか?もしも、もしも要が望むなら、婚約破棄だって出来ます。まぁ、私は5つも年下ですから、こうなる事も分かっていましたけど。どうしますか?」

ここでハッキリさせておかないと、ダメな気がする。
知らない間に、私の頬に涙が伝っていた。

あれ?
いつの間に?
泣いた覚えはなかったのにな。



杏樹 side 終わり