「なかなかキレイにならないね」

「うん。そうだね。と、言うか結衣って掃除苦手なんだ」

うっ.....

そうです。
苦手です。

昔、それでお母さんに怒られたなぁ。

『部屋、今度、絶対にキレイにしなさいね』

って言われてた。
懐かしい。

「あ、でも私、これでも料理は出来るよ」

「へ~...うっ...」

ちょっと待って、

『うっ...』

って何?

「あ、ごめん。ちょっとね。思い出しただけ。うん」

「何を?」

そこが一番大切でしょ。

「前に悟と美玖が.....料理対決?をした時の事を思いだして...」

料理対決?
どうしてそれがそんなに悪い思い出なんだろうか。

「いや、だって誰も料理で水素とか、石鹸が出来るとは思わないでしょ?と言うか、未だに不思議だよ。カレーを作る材料で.....」

わ~.....
それは凄い。

「で、頑張って出来たモノがゲテモノ。もう、食べたら死ぬと思ったよ」

「食べたの!?」

「俺が何か、会長だからヨロシクっ☆とか言われて...」

もう、哀れみしか無いわ。

しかも、絶対に言ったのは要先輩だよね。

「あれ?って事は他の人はある程度料理が出来るの?」

「う...ん。まぁ、ある程度は。でも、杏樹は蕎麦茹でる程度。あ、あとスープくらいなら作れるって言ってたっけ」

まぁ、ちゃんと茹でられるくらいなら、まだマシだね。
って事は、

「秀って料理できるの!?」

「まあ、ある程度なら」

知らなかった。
何か悔しい。

「じゃあ、誰が一番上手く料理って出来る?」

それが気になる。

「えっと、う~ん......料理なら杏奈?」

.....料理なら?

「あのさ、料理以外に何があるのさ」

「菓子作り」

なるほど。

「で、誰がやるの?」

「杏樹」

なるほど。
杏樹ちゃんは何がどうしたのか知らないけど、
料理よりもお菓子作りが得意なんだ。

「が!」

「うわっ!ビックリさせないでよ」

「総合的に言うと何故か、要が一番料理と菓子作りが上手い」

......へ?

「でも、さっき...」

「ああ、それは一つのモノをすごく上手く作れるわけであって、要はある程度のものは全部平均以上の出来で作れるんだよ」

うわ~~.....
あの2人、悔しいだろうね。

「ま、そんな事よりも、早く掃除を終わらせるか」

「そうだね」

掃除はまだまだ続く。

はぁ.....