その子は、もう鞄を手にして立ち上がっていた。 「あっ!あの―、さっきはありがとう」 「あー、お前ボーッとし過ぎ。大橋、しつこいから気をつけろよ」 「…うん。ありが」 最後のありがとうを聞かず「じゃあな」と帰ってしまった。 「……」 あれ?ところで、名前なんて子だったっけ?