ずっと先の方から「おーい!遅いぞ」と呼ぶ声がする。


「おー」
「はーい」



繋がれた手は離されること無く、駆けだした。



風が心地よく体を抜けていく。

久しぶりに走る高揚感に、このままどこまでも走って行けそうな気にさえなる。



「まだまだ、走れそうじゃん?」

「うん。楽しい。やっぱり私走るの大好き」






「その顔、ずっと見たかった」





「えっ?何?」


「もう、2度と言わない」


鳴瀬君、本当はしっかり聞こえてます。