恋が生まれる瞬間


ホッとしたのと、鳴瀬君の笑顔が見れたのとで、舞い上がる気持ちで、鼻歌でも出てきそうな私を一気に冷たい現実に引き戻す鳴瀬君の一言。


「………」

「いつ、行くの?」



今さら他の話題に変えることなんてできないのは、分かっていながら、なんとか別の状況にならないかと悪あがきをしてみても、私をとらえている視線には適うはずもなかった。



「あっ…そ、それが…明日には…アハハ浪人生に春休みはないらしくって……」


「はっ?明日ってお前……」

『明日』というワードに瞬時に反応したさすが陸上選手の鳴瀬君は、私が言い終わる前に一つ大きな溜息を吐いた。



「……ごめんなさい。なんか、こんなコトになるなんて思ってもみなかったっていうか…」


「ってことは、何もなく卒業しようと思ってたってコト?」

「あ、いや…そういうわけじゃないんだけど……」