恋が生まれる瞬間

ハハハと笑う私の頭を、コツンと叩いて「全くお前は」と溜息をつく。



「ごめんね、できの悪い生徒で」

「俺が教えた初めての生徒がお前なんだから、しっかりな」




「……はい」






二人しかいない静かなホームに、電車が静かに滑り込んできた。





先に電車に乗った私は、後ろから乗り込もうとする鳴瀬君を制して、


「鳴瀬君、ここからは一人で行くから」


と手を振った。