「鳴瀬君…?」



駆け寄ろうと走り出した時、ツルっと足元が滑った。


「きゃっ!」

「っぶね、お前、受験目の前に滑るとかってちょっとは気をつけろよ」


「ごめん」

ツルッと滑った私の体は、間一髪のところで鳴瀬君に腕を取られて助かった。





「じゃあ、行くぞ」

「えっ?」

「お前ひとりで着けるか心配だから」





鳴瀬君は、掴んだ腕をそのままに歩き出した。