恋が生まれる瞬間

サーっと私達の間を冷たい風が通り抜ける。


私の頭に乗せていた手がスーッと髪を撫でた。そして、その手は留まることなくそっと私の頬を包んだ。




「戸田?」


驚いた私が顔をあげると、そこに見えたのは無表情に私を見降ろす鳴瀬君の顔で、気のせいか少し苦しそうにも見える。



「な…るせ…くん…?」




始めてみた鳴瀬君のそんな顔に、胸がギューっと掴まれたように苦しくなる。


ドキンドキンとうるさく鳴り始める心臓の音



ジッと見つめる逸らされることのない視線に、きっと私の顔は真っ赤になっているハズ。