恋が生まれる瞬間

おじさんの手を振り払った鳴瀬君は「警察呼ぶ?」と聞いたこともないような怖い声で話している。





おじさんは「チェッ」と舌打ちして改札を出て行った。




「あ、ありがとう」



とりあえず、何もなくてホッとしたのもつかの間、すごく怒っているオーラ全開の鳴瀬君が私の旋毛に向かって「戸田!」と怒鳴った。




さっきまでの緊張が去ったのに、今度はなかなか去ってくれそうもない緊張で、ビクンと私の体が跳ねた。