恋が生まれる瞬間

――恐怖で言葉が出ない



「ね、女子高生がこんな時間に一人?」

プーンとお酒の匂いがする




顔を横に背けると今度は耳元に近ずいて「おこづかいはいらない?」と耳打ちされた。



誰か助けをと思っても、ホームからはここが見えない。

改札に駅員さんも今はいない。



フルフルと顔を横に振ることしかできない。










「汚い手で触らないで」

突然目の前が暗くなった。
正確には、暗くなったのではなくて私とおじさんの間に鳴瀬君が立っている。