恋が生まれる瞬間

呆然と立ち尽くす私に「買いますか?」と知らないおじさんが声掛けてきた。


「あ…すみません。どうぞ」



私は、慌てて横へずれると、そのおじさんは返却口から「コレ、あなたのでしょ?」と小銭を取りだした。





「あ、すみません」


そのおじさんに手を差し出した。


ところが、その手に小銭が渡されることはなく、その代わりに私の手をギュッと握るおじさん…






「えっ!?」


ブンブンとその手を振り払おうとしても、離してくれない。

そうしているうちに、おじさんは私の手を引いて自分の方へ私を引き寄せた。