恋が生まれる瞬間

なにか言うたびに吹きだされたんじゃたまらないと、私は鳴瀬君を無視してクルリと回れ右をして、改札の方へ向かった。




この駅には、改札の横に自動販売機がある。


少し肌寒くなってきたから、できれば暖かいものがいいんだけど…





「9月だもんね…」


諦めてアイスティを選ぼうとすると―――





「ちょっと待ってて」と言って返金レバーを押す鳴瀬君。


「えっ?」





振り返った時には改札を抜け出ていた。