恋が生まれる瞬間

「そっか、陸上嫌いになったわけじゃないんだ」

「えっ!走るのは楽しいよ。今日もすごく楽しかった」




その時、『まもなく下り電車が』とホームにアナウンスが響く。




「行かなくちゃ」

「うん」

「鳴瀬君、ありがと」




「どういたしまして」といってペコリと頭だけ下げる。





ファーンと警笛を鳴らしながら電車がホームに入ってきた。




「もう行きな」


肩を掴まれ、クルリと反転されてから、
ポンッと背中を軽く押され、前に1歩出る。