恋が生まれる瞬間

少し見える横顔は、笑っているようにもつまらなそうにも見えない無表情。
ただ、まっすぐ前の信号を見ている



「戸田にとって、特別って何?

俺は今日みたいにみんなで一つになることだって充分特別だって思うけど」



後ろを振り返って私の顔を見ながら言う。
後頭部から夕日に照らされている長瀬君の顔は、小学生を諭すようにやさしく微笑んでいる。



「そうだね。私久しぶりにドキドキしちゃった。

やっぱり走るの好きなんだなぁって。陸上続けてればよかったってちょっと後悔
でも、楽しかったぁ。リレーに誘ってくれてありがと」




「お前……」

私が鳴瀬君の顔を見てお礼を言うと、プイッと顔を逸らされた。