「天苑、何考えてんだよ?」 「何も考えてないですよ。」 別に考えることなど何もないんです。 枯れ果てた涙を取り戻すことも、 いなくなった兄を探すことも、 両親がいない日々の悲しさも、 全部どうでもいいんです。 小学5年生。 両親が死んで、兄がいなくなってから5年。 何かがもう冷め切っていた。