隣の山田君


私はボールペンの先をカチカチさせながら塚本の話を聞いた。


「それから?」


「それから?

 …それだけです。」


「そんなわけないだろぉ~!

 山田は死んだんだぞ!

 もっと酷いことしてるはずだ!」


「これ以上は何もない…です…。」


「隠しても分かってるんだ!

 殴ったり蹴ったりしたろー?!

 山田の腹や背中には無数の傷が残ってた―

 明らかに落ちた時の傷とは違う。

 これは、確実な証拠だ!」


「暴力なんて…絶対してません!

 俺、弱いものに手は出さない主義です!

 口は…出した…けど…。」


「分かった。明日まで時間をやろう―

 ちゃんと供述まとめて来いよ!」


そう言い放ち、塚本を帰らせた。