「颯太、キャスト決まってよかったね。」 「うん。西岡さんにもお礼言っといてな。」 「うん、分かった。」 日の暮れかかったいつもの公園。 日課の走り込みの合間に、颯太からの報告を聞く。 結局、莉衣子のつてでキャストが決まったようだ。 「でも、残念やったなー。」 言いながら、大きく伸びをする。 「何が?」 颯太の不思議そうな顔。 「颯太の作品に出られなくって。」 「え…?」 「出たかったなぁ、颯太の作品。」 「別にいいよ。」 「何で?」 「俺の、っていうよりうちの同好会の作品やし。」