「莉衣子、ちょっとごめん。」 「あ、うん。」 練習を一旦止めて、電話に出る。 「もしもし、颯太?」 『あ、うん。光梨、ちょっといい?』 電話越しに颯太と会話するのは、なんだか変な感じだ。 「うん。ちょっとだけなら。…どうしたん?」 『…窓、開けて?』 「…うん、いいけど…。」 颯太に言われるままに、カーテンを開けて窓を開く。 「…颯太?!」 開け放った窓のほんの1メートル先には、颯太の顔があった。