「うわ、久しぶりだー…」
久しぶりに来たその場所は、何も変わっていなかった。
「圭ちゃん、なんで急に秘密基地来ようなんて言ったの?」
あたしがそう聞くと、圭ちゃんは微かに笑みを浮かべた。
「さあ、何ででしょう?」
「…知らない」
その小さな洞窟の中に入った圭ちゃんは、穴を掘っていた。
「穴なんか何すんの?」
「手紙埋めるの。未来への」
「…タイムカプセル?」
「んー、まあそんなもん」
「いつ掘り返すの?」
「5年後かな」
そう言いながら持ってきたらしき小さな缶に手紙を入れて埋めた。
その土まみれの手で、あたしの手をぎゅっと握る。
「ちょ、汚い…」