「けーちゃん!どこまで行くの?」
小学2年の夏。
春に転校してきたばかりのあたしに優しくしてくれていたのは、隣の家に住む圭ちゃん。
あたしよりひとつ年上の圭太。
優しくて、いつでもあたしの味方で、あたしの大好きなひと。
あたしは、そんな圭ちゃんに山奥に連れて来させられていた。
「ねぇ!けーちゃんってば!」
「いいから。黙ってついてきてよ」
ムスッとするあたしの腕を無理矢理引っ張り、前へと進める足を速めた。
「もーやだ!疲れた!歩きたくない!」
「そんなこと言うなよ!ほら、着いたよ」
圭ちゃんにそう言われ、周りを見渡す。
「…?」
そこにあるのは、小さな洞窟だけ。