「かな…だよな?」

「うっうん…。たく…や?」

「久しぶりだなっ。」

「久しぶり…なんか変わったね?」

「そうかぁ?」

「うん…。大人っぽくなった。」

「ははっ…。かなもな。」


たくやは中学のとき
同じクラスで席も隣だった男子。

静かなグループでいつも
優しく笑っていた男子だった。

席が隣だったこともあって、
頻繁に話していたから
それなりに仲が良かった。

高校が別になってから
一切連絡なんて取ってなかったから
本当に久しぶりでびっくり…。


中学のときの地味な印象は
ほとんどなくて、明るい雰囲気。

黒渕の眼鏡と癖っ毛で
少し跳ねた髪がよく似合ってる。

イメチェン大成功って感じ。


でも優しい笑顔は変わってない。

なんだかかっこよくなってる…。


「元気だったか?」

「うっうん!」

「てか何でこんな時間に?」

「なんとなく、散歩したくなって。」

「ははっ…。俺も。
なぁ、アドレス教えてくんね?」

「えっいいよ?」

「サンキュ!」


アドレスを交換してたくやと別れ、
家に戻る道で自分の手が
強く握られていることに気付いた。


「手汗はんぱねぇ…。」


呟いてなんとか
気持ちを押さえようとする。


「ちょっと緊張したのかな…。」

家までの道が少しだけ長く感じた。