「次はゆうたな!」

「おぉ。」


ひろとがトップバッターで
かっこいいロックを歌ってくれた。

今日知ったけどひろとは
バンドを組んでいて、ギターボーカルらしい。

通りで上手いわけだ。

顔も整ってるし、ひろとが学校で
女子達にキャーキャー言われてる
理由がわかった気がする。


「〜♪〜♪」

そんなことを考えていると
ゆうたの歌声が聞こえてきた。

私が好きな歌手のバラードで、
ひろととはまた違う綺麗な声。


「ねぇ、二人とも歌上手いね。」

小声で話しかけてくるはるかは、
あきらかに二人の歌声にときめいていた。


「なんかこの後に歌うの緊張しちゃう。」

「はるかだって上手いじゃん。
私だよ、一番歌いずらいの!」


そんなやり取りをしていたら
ゆうたの歌はあっという間に
終わってはるかの番になった。

「〜♪〜♪」

緊張するとか言って、
相変わらず上手いなぁ…。

女の子らしい清んだ歌声に
聞き惚れてしまった。


「はるか歌上手いのな!」

「次はかなだぞ!」

男子二人はすっかり楽しんでいる。

「かなの歌はプロ並だからね!」

「ちょっと!ハードル上げないでよ!」

はるかのせいで増々歌いずらい。

ふぅ…。
一息ついてマイクを手に取る。


「…♪〜♪」

大好きなバラードに入り込んで歌っている
自分が恥ずかしかったけど
なんだか気持ち良かった。

曲が終わってみんなの方を見ると、
ひろととゆうたが
驚いた顔でこっちを見ていた。


「えっ、どしたの…?」

静寂に耐えられなくて慌てて話しかける。


「いや、かな…上手すぎ。」

「俺、がちでびっくりした…。」

「ね!かなは凄いの!」


はるかが自慢げに私の肩を叩く。

「そんなことないから!」

「今さら否定しても遅いし〜。」

「や、だって…!」


あぁー恥ずかし過ぎる。
目立つことに慣れていない私は
ついついテンパってしまう。


「まぢ、いいもの聞いたわ!」

「だな、おし!次いくぞ!」

「「いぇ〜い!」」


それから約3時間私達は
ずっとハイテンションで騒ぎ続けた。