「あったくやー!」
「遅いぞ、がきんちょ」
「がきんちょ言うなあ!」
「はいはい。早く行くぞ!」
たくやは日に日に
私をがきんちょ扱いする。
悔しい反面、ちょっと
嬉しかったりするのは秘密。
「あっこのお店見たい!」
「おぉ、入るか。」
そこは私の好きそうな
雑貨が並ぶ小さなお店だった。
「これ可愛い〜!」
「ん?」
「見て見て!」
「ネックレスかあ。3つのリングが通ってる。」
「可愛くない?」
「まあまあだな。」
まあまあかよ…。
たくやも気に入ればお揃いに
しようと思ったのになあ…。
「かな?これ、かな好きそう。」
「ん?あっやばあい!」
それは小さなコンパクトにテディベアの
飾りが施された物だった。
テディベアが大好きな私はネックレスのことなんて
忘れてそっちに夢中になっていた。
「かなー、そろそろ行くぞー。」
「えっ、はーい!」
たくやは、すっかり夢中に
なっていた私の腕を掴んだ。
雑貨屋さんを出たところで
腕から手が離れた。
「次どこ行く?」
「プリでも撮るか?」
「うんっ!」
「…その前にさあ、かな…。」
「え?なに?」
「………。」
「………。」
よくわからない長い沈黙。
私がきょとんとしていると
たくやの口がゆっくり動いた。
「手…繋いでいい…?」
それはあまりにも幼く
小さな男の子が好きな子に、
大人になったら結婚してください。
なんて言うような
可愛い覚悟と勇気に似ていた。
「いい…よ?」
たくやの手がそっと私の手に触れる。
普通、手を繋ぐだけで
こんなに緊張するのだろうか。
少しドキドキしながら
たくやの手を受け入れる。
たくやの手は、スポーツマンらしい
大きな、ゴツゴツした手だった。
小さな私の手を温かく包んでくれる。
ふと、たくやの顔を見ると目が合った。
照れたように微笑んで目をそらす。
そんなたくやが
愛しくて仕方なかった。

