ねぇ…愛して?



その日からたくやとは毎日、
朝から夜まで
出来る限りのメールをした。


絵文字をたくさん付けたり、
ハートを付けるのはお互い好きじゃないから
いたってシンプルな文面。


たまに気持ちが伝わりにくいという、
難点もあるがそれはそれで徐々に
わかり合えるようになるだろう。


通話料がかかるから
電話はなるべく控えた。


周りに騒がれるのも嫌だから
友達とかには自然と関係が
ばれるのを待とうということにした。


たくやとは他校だってこともあり、
一番身近な存在のはるかにすら
関係が知られぬままたくやとの
1ヶ月の記念日を迎えようとしていた。


『おはよー!』

『おはぁ。』


もはやお決まりの毎朝のメール。

私は自分からメールとか送るのが苦手だから、
メールや電話は基本的に
たくやからしてくれる。

たくやにしたら不満な一面
なのかもしれないが、
私にしたらたくやからのメールを
待つ時間が楽しかったりする。

『明日で1ヶ月だな!』

『だねぇ、なんか早い!』


1ヶ月と言っても、私にしたら
たくやは初めての本命。
たくやにしたら私は、初めての彼女。


たくやはその辺の男子よりも
しっかりしているから
そんなことはあまり気にならない。


けど、他のカップルと明らかに違うところ…。

それは、お互いに
奥手過ぎるというところだった。


もう付き合って1ヶ月も経つというのに、
ついこの間手を繋いだばかり。

周りのカップルの話を聞けば、
1ヶ月でキスやエッチは
普通にしてしまった人達が多かった。

みんなが早いのか、
私達が遅すぎるのか…。


まぁ、そのカップルによって
進むペースなんてそれぞれだけど、
もどかしさにも近い気持ちが生まれていた。


『明日デートすっか?部活休みだし。』

『そなの!?やったぁ!』


たくやはハンドボール部であまり休みがなく、
私も最近始めたコンビニのバイトが忙しく、
メールは毎日していても
なかなか会うことはなかった。


私達が進展しないのは
そのせいでもあるんだろう。

だから、会える日がいつも
待ち遠しくて仕方なかった。


『おし、じゃぁ学校頑張ろうな!』

『うん!また後でね!』

私の学校は本来、携帯禁止。

だけどそんな校則を
守る人なんてほとんどいない。

私もその一人。

休み時間になると携帯を開き、
たくやとメールしていた。