ねぇ…愛して?




「……………。」


長い沈黙。

心臓の音がうるさい。


「たくや…?」

沈黙に耐えきれずにたくやを呼ぶ。


「やべぇ…。」

「ん?なに?」

「やべぇよ。俺、すんげぇ嬉しい!」

「あっえ?」

「かな!好き!大好き!」

「えっあ…。えっと…。」


両思いとは言え、
付き合い始めたとは言え、
大好きなんて言われたの
いつ以来かわからない。


どう返事をしたらいいのか
全然思い付かない。


「かなは…?俺のこと好き?」

「…好き…だよ?」


人に好きなんて言ったの
初めてかもしれない。

覚えてないだけかな?


にしても、記憶に有る限りで
こんなにドキドキしたのは本当に久しぶりだ。

これは完璧に恋のドキドキ。

何故か涙が出そう。


「かな、大切にするからな。」

「あっ…ありがと…?」

「ふっ。かな、緊張しすぎじゃね?」

「そ、そんなこと…!」

「ははっ。可愛いやつ。」


ドクンッ…。

甘い低温で、しかも好きな人に
いきなり可愛いなんて反則だ。


「照れる…。」

「照れ屋だー!」

「ちょ、からかわないでよ!」

「ごめんごめん!んじゃ、メールするわ。」

「うん。待ってる。」


電話を切った後、私はすっかり
恋する女の子の気分だった。


カレンダーの5月7日にピンクのハートを書いた。

たくやで心がいっぱいで、
さっきまで感じていた
罪悪感なんてすっかり忘れていた。