約束の3日目。
何故かいつもより一時間も
早く目が覚めてしまった。
壁掛けのカレンダーをふいに見る。
5月7日…。
高校生活にもだいぶ慣れて、
新しい刺激がほしくなる
時期なのかもしれない。
一息ついて、携帯を手に取る。
ゆっくり…。
ゆっくり…。
短い文を打っていく。
『返事決まったよ…?』
5分もしないうちに、
たくやから返信がくる。
『うん。待ってたよ。』
胸が高鳴る。
少しだけ手が震えていた。
何か悪いことをしようとしているみたいだ。
うぅん。
まさに悪いことをしているんだ。
たくやの気持ちを
もてあそぼうとしているんだから。
『たくやのこと好きだよ。』
『え、ほんとに?』
『うん。』
…嘘じゃない。
たくやのことは本当に好き。
ただ、ちょっぴり罪悪感。
『なら、付き合ってくれる?』
『本当にに私でいいの?』
『かながいい。
何があっても大切にする。』
何があっても…か…。
この言葉は信じるべきなのかな。
もう、わかんないや。
『よろしくお願いします。』
可愛くもなんともない返事。
嬉しいのに…。
好きな人と付き合えて嬉しいのに、
素直に喜べない自分。
ふぅ…。
ため息をついたとき、携帯が震えた。
「あれ、メールじゃない…。」
少し焦りながら通話ボタンを押す。
「もしもし…?」
メールは何通もしてきたけど、
電話はこれが初めてだった。
緊張で声が上ずる。
「あっかな!?」
「えっあ、うん?」
「まぢで、まぢで…あのっ。」
「たったくや?落ち着いて?」
「おっおぅ…。えっと…。
本当に俺と付き合ってくれるの?」
たくやも緊張していることが伝わってきて、
少しだけ気が抜けた。
「うん…。」
「じゃぁ…、ちゃんと言うな…。」
「えっ…?」
「かな…?俺と付き合って下さい。」
「…はい。」

