「みゃーん…みゃーん…」


物悲しい声で泣き続けるクロを、わたしは見ていられなくなった。

もう、かわいそうで仕方ない。



一眠りして、起きた。

クロがいなくなっている。


布団の中にも、ベッドの下にも、テレビの後ろにもタンスの影にも。

みんなに訊いて回ったが、誰もクロを見ていないと言った。

わたしは思った。


多分、クロは、自分を捨てた飼い主を探しに行ったんだ。

わたしに勝手にクロって名前をつけられて可愛がられて、外にも出られず自由を奪われて。

嫌われるのが嫌だからクロは抵抗しなかったんだ。

勝手に死んだ婚約者に自分を重ねられて迷惑だったんだろうな…。

だってクロはクロじゃないもんね。

違う飼い主だったんだもんね……。