部屋がパッと明るくなったと思うと、
お姫さまは草原の真ん中にいました。


「ここはどこだろう?」


しばらく歩いて行くと、王子さまが座っているのが見えました。


「お、王子さま!」

お姫さまは叫びました。


しかし、王子さまが振り向くことはありません。


「王子さま!」

近くで呼んでも気付きません。


王子さまの肩に触れようとしたそのとき、
お姫さまの手はスッと透けました。


「⁉」


王子さまの目の前を見て、やっと気付きました。


王子さまが見ているのは墓石で、そこにはお姫さまの名前が掘られていたのです。