お城の階段を駆け上り、自分の部屋にたどりつきました。


親友への親しみは、
持ってはいけない憎しみへと姿を変えました。


お姫さまは黒ばらの鉢を取り出し、もう一度精霊を呼び出しました。


「これはこれは、お姫さま。もう願いごとは叶えたはずです。もう願いを叶えるのは無理ですよ。」


「違うの…。あいつを… もう1人のあたしを…消し去って欲しいの…」


お姫さまはもう、美しくて優しいお姫さまではありませんでした。


精霊はそれを聞いて、にっこりと笑いました。


「今の姫は…憎しみを持っておられる。わたしは黒ばらの精霊。憎しみや憎悪の念が大好きでございます。もし、それに値する代償を払っていただけるのでしたら、あの影をきれいさっぱり消してさしあげますよ。」