お姫さまは悩みました。
結婚相手の名前を聞いても、分かりません。
城では、もう1人のお姫さまの結婚にわいていました。
侍女たちは忙しく動きまわり、親友のためのウェディングドレスを仕立てています。
キッチンも、持参するごちそう作りで慌ただしくなりました。
窓ぎわで1人悩むお姫さまを見て、親友がやってきました。
お色直しの前のターコイズブルーのドレスを着ています。
「あら、ずいぶんときれいなドレスね…」
元気なさげに話したお姫さまに、親友は話しかけました。
「あなたに秘密にしていて、ごめんね。けれどあたし、嫁いでからも毎日会いにくるからね。明日の結婚式、祝ってくれると嬉しいな…」