制止の声はいとも簡単に流され私はなぜか隅に追いやられる。 シトラスローズの香りが間近に迫ったことで露骨に動揺してしまい、目を向けられず。 ちょうど正面にあったネクタイの結び目ばかり見ていたら、不意に指先が顎の下を撫でた。 それは爪の表面でくすぐるように動き飽きると肉を摘まれて。 こんな辱めはない。 「や、やめて………」 腕を掴む。 だけどこれといった効果はないし、正直期待もしていない。 例えばこれが愛君じゃなければ私は全力をもって掴んだ腕を引き離す。