「ねぇねぇ藍枝さん、オレとつき合おうよ」


「………ハッ?」


季節はもうすぐ初夏の、4月の終わり。


私・藍枝 芳乃《あいえだ よしの》は、皆より早く学校に来て、予習をしていた。


家でやるよりこっちの方が静かだから、色々はかどってたのに……


なぜか私と変わらない位早く来た目の前のバカが、とんでもない発言をした。


「だーかーら、オレとつき合おうよ、藍枝さん♪」


ノートや教科書を広げた私の机の上にアゴを乗っけて、カワイらしく首を傾げるこの男。


名前は赤間 祭《あかま まつり》―――…私のクラスメイトだ。