「彼方?」 「ん…奏?」 目が覚めると日が暮れていた。 あれから学校に行く気にはなれず、家に帰ってそのままソファーで寝てしまったようだ。 「何か、あった?」 「…」 無言で、ぎゅうっと抱きつく。 奏は何も聞かずにただ頭を撫でてくれる。 奏のそういう優しさが私は好きだ、と思った。 「奏」 「ん?」 「今日、一緒に寝てもいい?」 「ん、いいよ」 その日私たちは同じ布団にくるまって眠った。 そして次の日、揃って寝坊し遅刻した。