「雨宮」 「…あ、柊くん」 学校に向かう途中、珍しく柊くんに声をかけられた。 家は近いけど通学時間が被ったことは今までなかったなと今更ながら考える。 「…あのさ、」 言いにくそうに反らされていた視線が、意を決したように合わさった。 「?どうかした?」 「雨宮は、今もあの家で、相原サンと暮らしてんのか? 俺、この間たまたまその、手を握りながら帰ってるとこ見ちまって…」