奏は何も言わずに私を見つめる。 小さな幸せとか、ふとした瞬間の喜びに怯えている私を、彼は知っている。 彼もまた、同じものに怯えている。 忘れ、られない。 それでもいいと奏は言ってくれたけれど。 だけど、ズルくて弱い私じゃいつか奏を裏切ってしまう。 あぁ、あなたが、遠くなる。 トオル。 私は、満たされることが怖いんだ。