今日の晩御飯は私の好きなシチューだった。 奏の作るシチューは市販のルーを使わないとても本格的なもので、私の一番好きな料理だった。 「おいしい!」 夢中でシチューを食べる私を見てただただ微笑む奏。 出会った頃の奏も、よくこんな顔をしていた。 そう思って、はっとして、戸惑った。 思わず奏を見つめる。 「…彼方?」 違う、そんなんじゃない。 『彼方』 私は今、誰の顔を思い浮かべた?