お姫様のオオカミ



「春瀬、少しいいか?」

「あっはい」

休み時間、真島くんに呼ばれて廊下に出た。

「真島くん、何か御用ですか?」

「あのさ。玲央の事、説得してくれないか?」

「…説得?」

「サッカー部の事だよ」

「サッカー…」

『部活なんてただルールで縛りつけようとしてくるだけじゃんか』
玲央が言った言葉がよみがえる。

「でっでも、私なんかが説得しても効き目ありませんよ?」

私が言ってやってくれるわけがない。
それに、あんなこと言われて説得なんてできるわけない。

「ダメ…かな?」

「…すみません。私じゃ玲央…彼はやってくれないと思います。すみません」

私は深々と頭を下げて教室へ戻った。
真島くんは、申し訳ないような顔で「俺こそごめんね」って言っていた。


「…どこ行ってたの?トイレ?」

「女子にトイレとか、失礼ですよ(笑)でもまぁそんなとこです」

「ふぅん」

玲央はそのまま机にうつぶせになり、寝始めた。