お姫様のオオカミ



学校から少し離れたところで歩くのがゆっくりになった。

「…れっ玲央?」

「何?」

おっ怒ってる…
怒ってるよ…

「おっ怒ってます?」

「怒ってねぇよ!つか、もうサッカーしないから」

「えっ?」

そう言ってスタスタと歩きはじめる。
『もうサッカーしないから』って…
さっきまであんなに楽しそうにしてたのに。
満足げにしてたのに。

「ほっ本当にもうサッカーしないんですか?」

「しねぇよ。部活なんてただルールで縛りつけようとしてくるだけじゃんか。違うか?」

「…」

何も言えなかった。答えられなかった。
玲央の言葉にすごく重みを感じたから。
私には決してわからない、玲央の闇の部分を見たような感覚だった。

「ごっごめんなさいっ。私、その、立ち入ったことを…」

謝るしかなかった。
それしか頭に浮かばなかった。
私には無関係の事だったのに。
玲央がやらないと言ったならそれでいいのに。

「もうサッカーの事は言わないですから」

「…フフッ」

「…えっ?」

「フフッ…クク…ハハハッ」

玲央は突然笑い出した。