お姫様のオオカミ

「失礼します」

ノックして入っていく先輩。
私の腕を掴んだまま。

「ここ、そういうところじゃないだけど」

「先生は何を妄想したんですか」

「その感じ、そういう風にしか見えないけど…あんたか」

私に視線を移した先生が呆れた顔になる。

「保健室に来るのが趣味にでもなったんですか?」

わざと敬語で言う先生。

「そっそういうわけじゃないです…」

「ふぅん」

「放課後まで預かってください。逃げないように」

「…ここは託児所じゃないんだけど」

「詩音ちゃん、俺がここに来るまで帰っちゃダメだから。…じゃあ頼みましたよ、先生」

めまぐるしいスピードで会話が進み、行ってしまった。
取り残された私。
先生のため息が聞こえた。
呆れられてる。

「今度はあいつに乗り換えたの?」

「えっ!?」

「違うんだ」

「あのっえ…」

「相変わらず面白い反応するね。座れば」

ソファを指差され、私は小さく頷いて座った。
先生が向かい側のソファに腰かけた。

「今日学校来て大丈夫だったの?」

「え?」

「炎天下の中で倒れて、水分不足で日射病…2~3日で治るようなものじゃないんだけど」

「そっそうなんですか…」

「安静にしてろって言ったのに」

「あっあれは、あの日だけって」

「普通は数日おとなしくしてるもんだ」

「すみません…」

怒られた。
数日休んでなきゃいけないんだ…