お姫様のオオカミ

「…やっぱり気付いてなかったか」

「え?」

「そんな気がしただけ」

先輩から手が離れた。
掌に先輩のぬくもりが残っている。

「詩音ちゃん、ちゃんと安静にしてるんだよ」

「はっはい」

「約束だからね」

そう言って、頭をぽんぽんと撫でた。
不思議と安心する。

「じゃあまた」

「あ…ありがとうございました」

先輩が見えなくなるまで見送った。
見えなくなったと同時に再び涙が。
急いで部屋に入った。