お姫様のオオカミ

「あぁ、そういうことね」

先輩はわかってくれたのか、手を離した。
さっきまで繋がれてた手に触れる。
すごくあったかい…
先輩のぬくもりを感じられるくらい。

「詩音ちゃん、ワザとやってる?」

「え?」

「無自覚なのね…」

「?」

私なにかしてるのかな?

「…そりゃ、怒りたくもなるわな」

「え?怒る?」

私、誰かに怒りを買ってるの?
だとしたら、誰から?

「いいのいいの、こっちの話だから。まぁ…しいて言うなら、それくらい好きになっちゃうってことかな」

「好きになっちゃう?」

「そんな感じ」

先輩の言っている意味がよくわからなかった。
好きになっちゃうって…?

「それ以上考えないの。今日はもう帰ろうか。俺の目的は果たせたし」

「目的?」

「詩音ちゃんが、俺を名前で呼ぶこと」

「あっ…」

呼ぶことにドキドキしていたことを思い出す。
顔が熱くなる。

「顔、真っ赤だよ」

そう言って頬に触れる。
その部分が更に熱を帯びる。

「逆効果?」

小さく頷いた。