お姫様のオオカミ

「…キャプテン」

「なに?」

「私…決めました」

「詩音ちゃん?」

「私…サッカー部マネージャーを辞めさせていただきます」

「…え?」

きょとんとした顔で見るキャプテン。

「これが最善策だと思うんです。桜井くんはサッカーが好きです。でももし私がいることで部活に来れないんだとしたら、それは私のせいです。それに、元々サッカー部にはマネージャーはいなかったんですから、支障はないと思います」

話しているうちに涙は止まった。
それと同時に少しずつ冷静になっていった。
桜井くんがサッカーを続けられるためにはこれが最善策。

後は、教室にいられる方法。
それも簡単だった。
席替えをしたらいい。
私を席が離れれば座りやすくなると思うから。

「詩音ちゃん、何言ってるかわかってる?」

「わかってます。私が入部を許可されたのは桜井くんをサッカー部に引き留めるためです。もう私がいなくても引き留めておけるので、私がマネージャーをやる必要がなくなったんです」

私もびっくりするくらい冷静だ。
それに、すらすらと言葉が出てくる。

「何言ってんだよ。詩音ちゃんは部に必要な存在だよ」

キャプテンが必死に説得する。
だけど私の耳には残らない。
もう決めたことだから。
桜井くんが楽しく学校生活を送るためなんだもの。
そう思うのはまだ桜井くんの事が好きだから。
きっとそう。