救急車の中、私は祈ることしか出来なかった。

「お願い…。」


救急車の扉が開いた。

「16歳男性、意識レベル300、交通事故により頭部に出血が多量。骨盤骨折の疑いあり。」

といい、医者に渡された。

「桜水ちゃんじゃないか!?」

「えっ!?」

顔を上げるとお父さんと仲の良い宮路先生がいた。

「どうして?」

「救急医療に研修!?みたいな。」

「お願い、翔のこと助けて…。」

「できる限りのことはするよ。」

そう言ってその場を去って行った。


「それでは、処置室の前でお待ちください。」

返事をして、ソファーに座る。


少ししたら、誰かが走って来た。

そこには、唯と亮の姿が。

「大丈夫!?桜!」

近寄ってハグをする。

「…。」

無言で、抱きしめられたら涙が出てきた。

今まで泣かなかったのが分からないぐらいに泣いた。

「どうしよう…、私のせいで…。」

「大丈夫だよ。だって、翔だから。」

根拠も無いけどその言葉が嬉しかった。

その後、翔の家族と私の家族が来た。