「えっ・・・」
「ほら!」
ギュ・・・

葵さんの大きな手。

暖かくて、落ち着く。

スタスタとあたしの手を引きながら歩いている。

優しいんですね。先輩は。


そういうところも全部好きです。

あんな恥ずかしいとこ見られたのはショックだ。

それでもあたしは先輩に可愛い後輩って思われてますか?

そんなことを考えながら、先輩の手を握り、ホテルの噴水広場に向かった。

「ここだよ。めっちゃでかいだろ?」
「はい・・・」

「どした?なんか具合でも悪いか?」
「いえ・・別に。」

「そうか。おっ!あそこ座ろうぜ。」
先輩の指差したベンチに座ることにした。

「・・・。」
沈黙が続く中、あたしは思い切って聞いてみた。

「あの・・さっきあたしが転んだとき引きましたか?」

「引くわけねーだろ!ただ、バカでドジだとは思ったけどな。」

「うっ・・そうですか。」

「言ったろ?俺からしたらお前は可愛い後輩だって。」

ホントなのかな?先輩の本当の気持ちはそれだけなのかな?

「俺、わかんねーんだ。お前のことは可愛い後輩だって思ってるけど、
それだけかなって。俺、お前の一生懸命に頑張ってる姿めっちゃ好きだし、
羨ましいし。ここだけの話、俺、芸能界入るまで、まともな恋とかしたことねーし。」

「そうなんですか・・。あたしも今、学生ですけど恋なんてしたことありませんよ?
むしろ興味なかったんです。芸能界にも。」

「じゃあ、なんで芸能界に来たの?」
「ももちゃんがすごく芸能好きで、特に葵さんたちに。」
「俺らにってことはSTERBOYZにってこと?」
「そうです。それに影響されて興味を持ち始めたんです。昔のあたしの夢は
女優になること。でも、そんなの叶うはずないって思ってずっと諦めてて。
いつしか記憶からも飛んじゃってた気がしてたんですけど、STERBOYZを見てたら、
記憶がだんだん蘇ってきて、その時、スターネオン事務所にスカウトされて。」

今までのあたしを伝えられる限り葵さんに伝えた。