そして、それから数日。

珍しくOFFの日がやってきた。

唯一の休みとなると結構貴重である。
久々にホテルに戻り、夕食の時間。
乃々華と桃奈ちゃんを見るのは久しぶりだった。

乃々華を見ると、緊張してるのか顔が固く見える。

他愛もない会話を久々にみんなでした後、それぞれが部屋に戻っていった。

しばらくすると、
コンコン。
ノックの音。
「乃々華です・・。」
やはり、乃々華だった。
「どうぞ。」

ゆっくり扉を開け、中に入ってきた乃々華。
久々に見た乃々華の顔と声に少し緊張気味である俺。

沈黙も無理があり、俺から話をした。
「久しぶりだな。」
辿辿しい感じな乃々華。
「お久しぶりです。」
久々に会うとこんなもんなのか?

「なんか、乃々華から会いたいなんて言うからびっくりしたよ。」
すごく珍しくて、なんか大きな問題でもあったのか?

すると乃々華は急に真剣な表情でこう言った。
「すみません。話したいことというか、報告したいことがあって、
真っ先に葵さんに言いたくて。」

報告?なんのことだかよくわからないが、きっと乃々華にとっては
とても喜ばしい話なのだということは確かだと俺は思った。

「そっか。じゃあ、聞こうかな?」
少し間を置き、深呼吸をして乃々華が口を開いた。
「あたしとももちゃん、女優の道が決まったんです。」

女・・女優だと!?
俺は内心すげー驚いている。
女優の道というのは、乃々華と桃奈ちゃんが目指していた夢。

その夢が叶うチャンスが来たということだ。

乃々華、すげーよ!!!

「マジで!?」
つい、でかい声で叫んでしまった。

「声が大きいですよ。葵さん・・・」
「ゴメン。えっ、なんで?」

女優の道が決まった理由を聞くと、乃々華は全て話してくれた。

乃々華が言った理由は、社長の昔からの友人の方からのスカウトらしい。
その友人もこの、スターネオンの近隣にある芸能事務所の社長を
しているとのことで、事務所の移動は社長がさせないらしく移動することは無い。

その友人から社長が乃々華と桃奈ちゃんをスカウトすると言われたということ。

こんな大きな情報を真っ先に俺に伝えてくれたことに俺は嬉しく感じた。

いくら後輩でも、俺から見たら乃々華だけは特別な奴だと感じている。