俺らの事務所に新入りが入った。
オーディションを無事通ったのだろう。

「今日さ、新入り来るんだってよ!あの例の女子高生の新入り。」
竜也がウカウカしている。
そう思いながら俺は一人ブラブラと事務所の中を歩いていた。
すると、遠くからある一人の女が目をキョロキョロさせながら何かを
必死に探していた。

俺は横を通り過ぎようとしたとき、よそ見していたその女が
俺とぶつかった。
「きゃあ!」
「大丈夫かよ?ん・・・」
俺は無意識に手を前に出していた。
だが、その女は俺に文句を言いたいのかなかなか手を出さない。
せっかく助けてやろうとしてんのによ・・・。
だがしばらくして、その女は俺の手をとって立ち上がった。
立ち上がるとその女は俺を見て目を見開いた。
「え━━━━!!」
こいつもしかして新入りか?率直に言うと可愛いやつということ。
あっ、後輩としてだけどな?
どう答えていいか分からずとりあえず、静かにしろということ。
「静かにしろよ。ここ事務所なんだけど?ってもしかしてあんた新入りか?
へ~・・可愛いじゃん。」
率直に思ったことを口にしていた。
こいつは少し動揺している。
きっと、可愛いに反応したのだろう。
すると、「あ・・あの、トイレってどこですか?」
なんだ、トイレの場所か・・。やっぱこいつ新入りだ。
「あ~、トイレならここの角曲がったとこ。」
「はあ・・・そうですか。ありがとうございました。」
と言ってそいつはトイレへ走っていった。

なんか面白いやつ。こんな後輩は初めてだ。
そんなことを思いながら事務所に戻ると、雄大と竜也、そして社長がいた。
「もうすぐ、新入りが来るんだが・・ちゃんと挨拶しろよ。」
社長は俺らを見ていった。

しばらくすると、コンコン。
ノックの音。
「は~い。」と社長ノックに答え、扉を開けた。
扉の外にはやっぱいた。さっきぶつかったやつ。
その隣にはいかにも元気そうな女が一人。
コイツも新入りだと思う。
その女は動揺もしておらず、陽気な声で、
「こんにちは!!新入りです!」
と言った。
つられてあのぶつかったドジ女も動揺しながらも挨拶をした。

それから、自己紹介とちょっとした説明を終えた。
こいつらの名前はさっきのドジ女が琴吹乃々華。
その隣が中野桃奈らしい。
どうやら、その二人は俺らを知っているみたいだった。
社長に自己紹介をしろと言われ自己紹介をした。
しなくたって、俺らのことこいつらは知ってるんじゃないのか?
まあ、とりあえず自己紹介を終え、こいつらはまた3日後に
事務所に来るようだった。

挨拶を終えたあと俺らは一旦ホテルに戻った。
あのふたりはレッスン場に顔を出すそうだった。

ホテルに戻り俺の部屋に2人が集合。まあ、暇なときはだいたいそうだけどな。
部屋につきくつろいでいると竜也が口を開いた。
「あのさ~・・あの新人の子達が俺らの後輩なわけでさ・・」
出た。竜也の女の子のお話。こいつ、ホント好きだよな~・・
こいつって意外に純粋。笑える。
するといきなり、竜也がこんなことを聞いてくる。
「雄大と葵ってさどっちが可愛い後輩だと思う?」
可愛い後輩!?いきなりか!?
まだ、初対面だぞ。
「俺は二人ともいい後輩だろ?可愛いとか興味ねーよ。」
仕事優先のと年下のくせした雄大が言う。
「雄大はやっぱそんな感じか!アハハ!俺は桃奈ちゃんかも。」
ああ、あの陽気な感じの女だよな。

俺はどっちだ?後輩か・・まあ、両方後輩だけど、
俺的に気になったのは乃々華ってやつ。ドジなのは確かだな。