「あ~、マネージャーを待ってたんだけど全然来ないから
事務所に来たんだけど。いない?」
雄大さんが言った。
あっ、そういえばマネージャー探すって言って社長さん出てっちゃったんだっけ?
「えっと、マネージャーさんなら今、社長さんが探しに行きましたけど?」
あたしはそう言ってみた。
すると竜也さんがふとあたしたちの持っている荷物に目を向けた。
「ていうかさ、乃々華ちゃんと桃奈ちゃん、なんでそんなでっかい荷物持ってんの?
どっか遠いとこでも行くのか?」

「あ、これはこの事務所の近くのホテルに泊まり込みする日が今日からなんで、
それで事務所の社長さんに場所聞こうと思ったら、まあこういう状況に。」
ももちゃんが説明し終わると、3人は目を見開いてびっくりしていた。

そりゃあ、そうですよね。
STERBOYZの3人が使ってるホテルにあたしたちもってわけですからね。
すると、社長さんとSTERBOYZのマネージャーの宮本さんが部屋に入ってきた。
「すまんすまん。遅くなってしまって。よし、では宮本、行ってきてくれ。」
「行くってどこへ?」
葵さんが口を開いた。
「だから、君たちのホテルだって。この女の子ふたりも今日から泊まり込みで
そこのホテルに泊まるのだよ。」
「さあ、行きますか。」
「ちょっと待ってください。俺らは別に行かなくてもいいんじゃ・・・」
「ダメだ。行ってこい。お前ら3人は仕事午後からだし、
少しゆっくりしてきなさい。」
「・・・。」
そして、あたしとももちゃん。あと、STERBOYZの3人を乗せた車は
ホテルへと向かった。
事務所からは本当に近くて10分弱で着いた。
こんな早いんだったら歩きでも良かったと思ったけど、
考えてみるとこの有名STERBOYZがホテルまで歩いていったら
周りがしつこく迫ってくるだろう。とあたしは思った。

車に乗ってる間、竜也さんに色々質問攻めされて車の中でも
忙しかった。

「着きましたよ。ここです。」
連れてこられたホテルは高層ビルのような高さで、
有名人がたくさん泊まっているんじゃないかと思わせられるくらいだった。

でも、聞いてみたところそうでもないらしい。
詳しくは話すことができないみたいで・・・
そりゃ、有名人の居場所を聞いてるのと同じってなっちゃうわけだしね。
まあ、そこまで聞くこともできなかったから諦めたけど。

扉は自動ドアでこのホテルに勤務してる感じの人たちが出迎えてくれた。
「「お帰りなさいませ!」」
まあ、入ったばっかですけどって感じなんだけどね。

「じゃあ、3人は部屋でゆっくりしていて結構ですよ。
仕事の時間になったら呼びに行きますんで。」

「分かった。」
雄大さんが答え、階段で3人は部屋へ向かっていった。
「じゃあ、お二人は部屋案内しますね。あっ、一つ言っときますが、
一人ひとつの部屋ですから。それとこれ、部屋の鍵です。
えっと・・こっちが乃々華さんで、こっちが桃奈さんです。」
二つ渡された鍵。二人一つ言われた鍵を手にとった。
あたしの部屋の番号は‘223‘。
ももちゃんは‘226‘の番号部屋。