「桃奈ちゃんの笑った顔可愛いね。それだったら絶対いいモデルになるよ!
頑張って!」

ももちゃんの顔はほんのり林檎みたい。
葵さん、やっぱ謝ったほうがいいかな?
あの時あたしが前見てなかったのが原因ってのもあるしね。
よし。
「あ・・・あの!葵さん!」
「何?」
と言って葵さんは下を向いてた顔を上げた。
みんなにはそのこと言ってなかったけ?
きっとみんなの頭はハテナだろうけど・・・。
って、なんでここで言っちゃうんだ!?もういいや!
二人になれるとこに連れて行くともっと怪しまれちゃうし。

「さっきは、ゴメンナサイ!あたしが前見てなかったから。」
勇気を振り絞り言ってみる。すると、
「あ~、そのこと。別にいいって。気にすんな!」
と言いながらあたしたちの横を通り過ぎたとき、
ポンッ。

あれ?なんか頭の上に違和感感じた。
・・・ああ!!!!
えっ。どういうことなの!?
葵さんがあたしの頭に手を乗せてくれたのです!?
きゃあ~これは・・・

あたしの顔はきっと赤く染まっていたと思う。
するとももちゃんが、あたしの肩を腕でつついてきて、
「な~に顔赤いけど!?興味なかったんじゃないのか~!?てか、なんで今謝ったの?」
ニヤリと笑みを浮かべながらあたしに迫ってきた。
「いや・・別に。謝ったのはさっきぶつかっちゃって。てか、少しは興味持つようになっただけだし。ももちゃんみたいに依存とかじゃないからね!!」

頬をふくらませすねてみる。
「ふ~ん・・・。何!そんな可愛い顔しちゃって。やっぱ気があるんじゃん。」
「いや、ファンだよ!ファンだから気があるってことですよ!」
そう!ファンって言うんだ!こういうのって。

ファンとして好きなだけだし。
今まではファンとかっていう芸能人はいなかったけど、
今のあたしは芸能界入りを考えてからか、変わっちゃったと思う。
自分でもそう思うし。
あの時、葵さんが笑ってた。
無邪気な笑顔で少し可愛かったかも。
そういうところもファンとして、好きかもな。
「ファン」として!だから。

3日後。きつい特訓が始まる。
気を引き締めなければあたしはきっと自分に負けちゃう。
3日後切り替えて、特訓頑張っちゃお。