オーディションを終え、ダンスの先生に報告。
モデル生活はすぐに始まるんだ。

来週には事務所さんに挨拶をしに行き、その後きついモデル特訓が始まる。


数日たったある日の学校では奇跡的にあたしたちの話題はなかった。
でも、きっと雑誌に載ったときこの学校ではあたしとももちゃんのことで
大騒ぎになるのだろうと予測できる。

気にしないのが一番いいことだけど。

そして、その日はやってきた。まずは事務所への挨拶。

「ここだよね。事務所って・・・。すっごく緊張する。
そうだ!ちょっとトイレ行ってきていいかな??
ももちゃん、ここで待ってて。」
「いいけど、早く戻ってきてよね!!」

「うん!分かった。」
そしてあたしはトイレを探しながら走り回っていた。
あんなことが起こることも知らずに。

「あれ~・・トイレどこだよ~・・・」
ドン!

「きゃあ!!」
あたしは誰かとぶつかり尻餅を付いた。
文句を言おうと立ち上がろうとしたとき、
「大丈夫かよ?ん・・・」
そう言ったあたしとぶつかった人が手を差し伸べてきた。
誰だよ~・・・
文句を言う気にもなれなくて手を借り立ち上がった瞬間!
「え━━━━!!!!!!!!」
つい大きな声を出してしまい急いで口を手で覆った。

だって、そこにいたのはあたしに手を差し伸べてきた人とは
あの・・・あの・・・STERBOYZの葵さんでしたのだから!!!!

「静かにしろよ!ここ事務所なんだけど??ってもしかしてあんたって
新入りか??へ~・・可愛いじゃん。」
か・・・可愛い!?あたしが!!!!!!!!

葵って人ってこんな感じの方だったんだ・・ドSとか!?
って何考えてんだあたし・・・こんなスターなお方の前で!!
いけないいけない!!トイレ行かなきゃ。この人に聞くか・・・

「あ・・・あの・・トイレってどこですか?」
「あ~・・・トイレならここの角曲がったとこ。」
「はあ・・そうですか。ありがとうございます。」
それだけを言い、去ったあたし。
だってあれ以上あたしあそこにいたら心臓持たないかもだし。
なんか、あたし変わちゃったかも。芸能に興味なかったのに・・・。

でも、これからもっと芸能界の深いとこ入ってくわけだし
それぐらいはね・・・。