(side 桃奈)
「ただいま~」
「桃奈、お帰り。」
キッチンからお母さんの顔がひょこっと出てきた。
今日は話す。スカウトのこと。
話して、話をつけよう。
そう考えた、あたし。桃奈。

お母さんはキッチンで夕食の準備をしていた。
思い切って・・・・
「ねえ、お母さん。」
「どうしたの、桃奈。」
「相談があるの・・・。」
「なになに!!恋とか!?桃奈が相談なんて意外ね。」
「いいから、聞いてよ。」
「はいはい。」
と言ってお母さんがリビングの椅子に腰を下ろして真剣な顔をしている。
今だ!
「あのね、聞いて驚かないで。この前あたしと乃々華、テレビ関係の人に
スカウトされたんだよね・・・。」
「・・・!?」
やっぱり、驚くに決まってるよね。
きっと・・・。
「すごいわね!!!」
「はい!?」
「だって、テレビでしょ!?」
「テレビって言っても、大変だし・・・。」
「桃奈はやりたくないの?あたしはやっていいと思うわ。
桃奈にはまだ、夢がないでしょ。夢を作るチャンスじゃない?」
「チャンス・・・夢ってことは女優とか?モデルとか?」
「そう。人前に立ってみんなに笑顔を届ける仕事じゃない!?
そんないい夢なんてないと思うけどな・・・お母さんは。」

笑顔を届ける仕事か・・・。
悪くはない。でも、少し不安なんだよね。

こんなあたしが人前でたっていいのかな?って。
笑顔にできるのかな?

今まで夢なんか持たなかったあたしにチャンス。
夢を見つけるチャンス。

夢に向かって歩むにはまず挑戦って言うよね?

何にでも挑戦から。

挑戦、してみるか!!

みんなを絶対、笑顔にして見せるんだから!!

「やってみる!!みんなを笑顔にさせる仕事が夢って
いいことだと思う。だから・・・」

「そうこなくっちゃ!!」

絶対、夢、叶えてみせる。

あっ!ののに、電話しなくちゃ。

あたしは携帯を手に取り、ののに電話した。